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子どもがインビザライン治療をする際に知っておきたいデメリット

矯正歯科

子どもがインビザライン治療をする際に知っておきたいデメリット

「子どもの矯正治療で、インビザラインのメリットだけでなくデメリットも知っておきたい」
このように考え、情報を集めている方もいるでしょう。
特にお子さま向けの「インビザラインファースト」は、治療を成功させるために保護者の方のフォローが欠かせません。
治療を始めてから後悔しないよう、事前にデメリットや注意点をしっかり把握しておくことが大切です。
本コラムでは、保護者の方が知っておくべきインビザラインファーストのデメリットを詳しく解説します。さらに、治療を始めるのに最適な時期や、失敗しないためのコツをあわせて紹介します。

インビザラインファーストの主なメリット

はじめに、インビザラインファーストのメリットをご紹介します。以下の3点です。

・顎の発育と歯並び改善が同時に進められる
・痛みが少なく口腔内のトラブルやケガのリスクを低減できる
・指しゃぶりや舌癖(ぜつへき)の改善が期待できる

インビザラインファーストは、透明なマウスピースによって成長期のお子さまの顎の幅を広げながら、歯並びを整える矯正治療です。永久歯が萌出(ほうしゅつ)するためのスペースを確保し、将来的な抜歯リスクや成人後の本格矯正の必要性を低減できる可能性があります。
滑らかなプラスチック製マウスピースを使うため、ワイヤー矯正で起こりやすい口腔内の傷や口内炎のリスクが抑えられます。
加えて、転倒やスポーツ時における装置が原因のケガも起こりにくく、活発なお子さまも比較的安全に装着いただけます。
さらに、マウスピースの装着によって、指しゃぶりや舌で歯を押すといった歯並びに影響を与える癖の改善も期待できます。

知っておくべきデメリット

メリットがある一方で、インビザラインファーストには注意すべき点も存在します。

・徹底した自己管理が求められる
・適応症例が限られる
・治療期間に上限が設けられている
・費用負担が比較的大きい

マウスピース矯正で計画通りに歯を動かすには、1日20時間以上マウスピースの装着が必要です。装着時間を守れないと治療が進まないため、特に低年齢のお子さまには保護者の方のサポートが不可欠といえるでしょう。
また、マウスピースの紛失や破損のリスクがあり、再製作には追加費用や治療期間の延長を要します。
加えて、重度の叢生や骨格に起因する問題があるケースでは、マウスピース矯正だけでは歯並びの改善が難しいことがあります。その際は、ワイヤー矯正や外科的治療との併用が必要になる可能性もあります。
インビザラインファーストは、製品の設計上、治療期間が原則として「通常1年半まで」 と定められています。期間内に歯の生え替わりや顎の骨格成長が完了しない場合、永久歯列期に合わせた第二期治療へ移行する必要があるなど、長期的な管理が求められます。
費用面においても、一般的なワイヤー矯正よりも高額になる傾向があります。

インビザラインファーストの適応条件は、以下のコラムを参考にしてください。
インビザライン・ファーストの適応条件について把握しておきたいこと

治療の開始時期と失敗しないためのコツ

お子さまの矯正治療は、顎の成長を活かしながら、将来的な抜歯リスクも低減できる「前歯4本が生え変わった段階(おおよそ6~10歳前後)」が開始の目安です。
失敗しないためには、開始のタイミングに加え、以下3つのコツを押さえるのが重要です。

・お子さまと保護者の方双方で「毎日装着する」意識を持つ
・食事や外出の際に、装置を破損、紛失しないよう注意する
・お子さまの歯並びが適応症例か、矯正歯科医の診断を受ける

インビザラインファーストは多くのメリットがある一方、自己管理や保護者の方の見守りに加え、お子さまの症例にあった治療の選択が欠かせません。

当院では、インビザラインファーストとワイヤー矯正、両方を取り扱っており、お子さま一人ひとりの歯並びや成長段階に合わせて、最適な治療方法をご提案いたします。ぜひ気軽にご相談ください。

 

Q1:インビザラインとインビザラインファーストの違いは何ですか?
A1:インビザラインは主に成人や永久歯が生え揃った思春期以降の患者さま向けで、全体の歯並びや咬合異常の矯正を目的とします。一方、インビザラインファーストは、6〜10歳前後の乳歯と永久歯が混在する「混合歯列期」の子ども向けに設計されており、顎の成長を促しつつ永久歯のためのスペースを確保することを重視しています。

Q2:インビザラインファーストの治療期間の変動要因は、生え替わりや骨格成長の終了タイミング以外に何がありますか?
A2:いろいろな要因がありますが、例えば、1日20時間の装着が厳守されないために歯が計画通りに動かず治療期間が延びたり、虫歯治療のために一時的にインビザラインの治療が一時的に中断されたりするケースがあります。また、マウスピースの破損や紛失も治療が長引く要因の一つです。

記事監修 向井⻭科 院⻑・⻭科医師 向井 紀文

記事監修 向井⻭科 院⻑・⻭科医師 向井 紀文

略歴

  • 歯科医師
  • 歯学博士(1993年 大阪大学)

略歴

  • 1993年大阪大学歯学部卒業
    大阪大学歯学部口腔外科入局、博士号取得
    口腔外科手術のエキスパートとして、大阪労災病院、
    愛郷会笠利病院、名瀬徳洲会病院に出向
  • 2002年大阪府四條畷市にて「向井歯科院」を開業
  • 2008年「医療法人紀文会 向井歯科」となり現在に至る

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