向井歯科ブログ


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失活歯の経年変化について

歯科治療全般

こんにちは。院長の向井です。

日中の暖かさから、
少しずつ春の訪れを感じるようになりました。
毎年この季節は花粉に悩まされている方も
多いことでしょう。

鼻水や鼻詰まりがあると、
口呼吸が増えてしまうことも考えられます。
お口のトラブルを防ぐためにも、
しっかりと花粉症対策をして過ごしたいですね。"

さて、みなさん

「失活歯」

なんと読むかわかりますでしょうか。
答えは、<しっかつし>です。

今回のブログで、
失活歯(しっかつし)の経年変化
について、
症例を上げてご紹介いたします。


失活歯とは、歯髄が死んでいる歯のことの総称です。
虫歯によって神経活動が停止したものと、
神経を取ったもの、
両方のことを指します。

まずはレントゲンをご覧になってください。

失活歯の経年変化について

右上の小臼歯あるいは右の側切歯の根は
レントゲンだと暗く映っています。

逆に、その横にある
第一大臼歯や右の中切歯の根は
まぶしいくらいに
白く映っています。
この歯は生活歯(せいかつし)といって
歯髄が生きています。

単純に考えると、
放射線を通しにくいものが
レントゲンでは白く映ります。
この第一大臼歯や右の中切歯の根は
硬いとも言えますね。

さて、この色の違い。

一体何が起こっているのでしょうか。

失活歯の根は神経をとってから数年たつと
根の強度が回りの骨と区別がつかなくなるほど
柔らかくなっていきます。

おそらく、
失活歯のミネラルが、
根の方へ拡散していき
減ってしまったのだろうと
考えられます。

わかりやすく
砂糖を使って例えると、

角砂糖を濃い砂糖水に落とすと
やがて角砂糖が溶けてなくなってしまう現象
と同じでしょうか。

通常、歯の神経は、
神経部分に通っている血管を通して
歯の中に水分や栄養を届けており、
歯を硬い状態に保つことができます。

そのため、
生きている神経血管のある歯には、
飽和状態になるほど
ミネラルを補充し続けているので
歯が固く、
レントゲンでは白く映ります。

ということは、

神経をとった歯は、
経年による劣化で
強度が落ちていくことは、
ある程度織り込み済みで
考えなければなりません。

硬い銀歯やセラミックで、
砕けた歯をよく見かけます。

それは、
時間とともに
治療で残した根の強度が落ち、
銀歯やセラミックの被せ(かぶせ)部分を
支えられなくなったからだと
推測されます。

人間は前歯と奥歯の使い方がちがいます。

比較的負担が少ない前歯については、
修復した硬い部分をかぶせても
トラブルは少ないです。

しかし、奥歯はよく使います。
硬い人工の歯を神経のない歯(失活歯)にかぶせると、
経年変化で破折のリスクが高まります。

よって、
奥歯の治療には
根が経年で骨並みに柔らかくなることを想定して、
ある程度弾力のあるものを使ったほうが、
根の破折予防のためにはいいと思います。

固くないものは、
すり減ったり
かけたりするかもしれませんが、
被せ(かぶせ)は、
所詮使うものであるから
消耗します。

根が割れて抜歯に至るのを
回避できるのであれば、
定期的に更新するものと
考えたほうが
安心できるのではないでしょうか。

レントゲンに
小臼歯大臼歯の被せ(かぶせ)が
暗く映っています。

これはTUMという
非常に割れにくいのに
弾力のある材質で
根への負担が少ないものです。

前歯はジルコニアです。
かみ合わせと使い方で
リスクがないと判断いたしました。

失活歯となった歯で、
経年リスクで怖いものは
むし歯、歯周病、破折です。

破折は身もふたもなく、
気をつけようがありません。

臼歯部失活歯には、
近年TUMを使うことを
お願いすることが
多くなりました。

破折による抜歯などの頻度が
少なくなって
大変助かっています。

 

 

 

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